ここに載せた文章は私がFINAL WORLDを描くにあたって
書き上げたストーリーを現したものです。
かなりの部分、漫画になった時と違いますので比べてみると楽しい
と思いますので(^^;)ホントカナ…、読んで見て下さい。
今後も私がやった原作とかのストーリーを載せていこうと思います
のでお楽しみ下さい。
「朝」が何日か続き…。
人々は「神が来た」とも「悪魔が来た」とも叫んだ。
そしてその朝は7日間続き…。
後に「洗礼の7日間」と呼ばれた。
その後人々は先を急ぐ砂のように崩れ去り。
他の動物も後を追うように崩れていった。
植物は崩れ落ちはしなかったが、異変による天候の
変化で大部分が腐り尽きた。
地球上から崩れるものがなくなるまで
7日間かかった…。
後に「選択の7日間」と呼ばれた。
そしてこの「14日間」の後に残ったものは
いくつかの無機質な物質で構成されている建造物と
いくつかの「人間」と呼ばれるものものだけであった。
第一章 イニシャライズ
地平線にかごを背負った少女のシルエットが写る。
弥生時代の様な服装をしている少女は
まるで神の再来を感じさせる雰囲気を持っていた。
サトウキビの様なものをかじりながら歩いてくる少女。
ガレキと廃虚の中にたたずむ小さな小屋に入っていく少女。
少女 「ただいま〜!」
男(父)「お帰り、どうだった隣街の様子は?」
少女 「うん…、駄目だった、誰もいなかったよ。」
男 「…そうか、あの街も駄目だとすると、この地球で助かったのは、本当に私たちだけかも知れないな…。」
少女 「大丈夫だよ、父さん、たかが数十kmの範囲を見ただけじゃないか、きっとどこかにまだ生き残っている人達がいるって。」
少女は父の前にかごを降ろし、なかから「食料」や「道具」を取り出した。
少女 「それより、ほら! 結構収穫があったんだ。」
男 「おお、すごいじゃないか。」
少女 「結構残ってた建物が多かったし、公園も無事だったよ。」
男 「へぇ〜、そいつは貴重だな、ははは…、ん?」
男はかごから一つの木の切れ端を取り出した。
少女 「どうしたの、父さん?」
男 「おまえ…、これどうやって手にいれた?」
少女 「どうやってって、公園で拾ったんだけど…?」
男 「本当に拾っただけなんだな?」
少女 「うん…!?」
男 「この木は、最近誰かに切られた形跡があるんだ!」
少女 「ええ!? そ、そんな、誰かいる気配もなかったし、どこにもそんな跡はなかったよ。」
男 「…。」
重い表情の男。
その夜、少女は軽い風の音で目を覚ました。
すると横で寝ていたはずの父の姿はなく、気になった少女は床から身を起こし、外の様子を見に行った。
そこで少女は驚くべき光景を目にしたのであった。
それは父が自ら存在を否定していた「人間」と会話をしていたのであった。
少女は驚きで声も出なかったが、なんとか会話を聞き取ろうと聞き耳をたてていた。
しかし、ある程度距離があるため、はっきりとは聞き取れず、途切れ途切れの会話が耳に入ってきた。
男 「…しかし…、…まだ…早い…。」
謎の人物「…主…、…求め…、…急ぐ…。」
何度か会話を交した後に父は叫んだ。
男 「断わる!!」
その直後、謎の人物の手元がキラッと光ったと思うと、父が「二つ」に分かれ地面に落ちて行った…。
少女は思いっきり歯を噛み締め、声を抑えた。
少女は声を出さぬまま、床を手で押し震えた。
体の震えが収まりかけたころ、少女が小屋のすき間から外を覗くと、父を殺したと思われる謎の人物が小屋に近づいて来るのがわかった。
震えを振り切り少女は立ち上がり、逃げようとする。
そのとき少女は父の寝床の下にある袋に気がつく。
その袋には「我が娘へ」と書かれていた。
袋を手に取り、慌てて小屋の外に逃げる少女。
それに気付いた謎の人物も少女を追いかける。
「洗礼の7日間」以降、金属物体を通り抜ける電子が金属原子のフィールドから離れられなくなったため、世界から電気というものはなくなった。
もっとも、どうしてそうなったのか、なぜ起きたのかを伝える人間も記録も今の時点では少女に知る由はなかった。
ただ過去に華やかなネオンを誇っていた繁華街はいまでは暗黒のオブジェと化し、夜空から微かにそそがれる星たちの明りすら透さない巨大な壁となっていた。
その真の「暗黒街」を少女は必死に逃げ惑っていた。
そして一つの崩れかけたビルに逃げ込むとドアをロックし、倒れ込んだ。
疲れ果てて、身動きが取れない少女の遠ざかる意識の中で追ってきた男の足音が近づき、離れていくのを感じ、少女は深い眠りに入った。
暗闇の密室で目を覚ました少女はドアを開け外に出た、少女の視力を奪うほどの眩しい光りが襲う。
すでに時間は昼を回っていたが、少女は二度とあの小屋には戻れぬことを予感していた。
父が残した袋を手にし、あてのない旅に発つ少女。
街の中央にある噴水跡に辿り着き、水を補給する少女。
ついでに水を飲もうかと思い、水面に顔を近づける少女。
ところが水面に写った景色の中に人影を発見して、小さなナイフを手に振り返る少女。
少女 「誰!? そこにいるのは!?」
ビルの陰から一人の男っぽい女が現われる。
女 「おいおい、なんだなんだ、俺はオマエさんの敵じゃないぜ! そんな物騒な物はしまってくれよ!」
少女 「あなたね、私の父さんを殺したのは!」
女 「何いってんのか、わからないけど、俺はこの街に来たのも初めてだし、今来たばかりだし、オマエさんに会うのも初めて…。」
少女 「うそよ! もうこの世界には私と父さんしか…、そして、父さんを 殺した人しかいないはずよ。」
女 「今のあなたに何を言っても無駄みたいね。」
少女 「よくも父さんを!」
女にナイフを持って走り向かっていく少女。
簡単にあしらわれる少女。
道端に倒れ込む少女。
女 「ふん、あんた如きの腕じゃ、天地がひっくり返ったって、俺を倒すことはできないよ!」
少女 「じゃあ、私を殺すの?」
女 「その覚悟があるのなら、俺と少しくらいは話をしないか?」
少女 「…。」
女 「じゃあ、まずあんたの身に何が起きたか、教えてくんない?」
少女はしばらく口を閉じていたが、気を静めて女に昨日の出来事を語り始めた。
女 「…ふぅ〜ん、そうだったのか、あんたも大変だったんだね。」
少女 「…あなたは本当に父さんを殺した人と違うの?」
女 「残念だけどね、けど気になるね、そいつ…。」
少女 「…。」
女 「そいつは『男』みたいだったんだろう。」
少女 「ええ、『男』か、お姉さんみたいな男みたいな女…、あ、ごめんなさい!」
女 「はは、いいよいいよ、本当の事だ。」
苦笑する女。
女 「…実はね、あの「選択の7日間」の後、かなりの人間が消えていったのは、あなたも知っての通りだけど、その内訳というのが面白い事に消えていく確率が男の方が多かったのよ。」
少女 「?」
女 「つまり、わずかに残っている人間のほとんどが女性なのよ。」
少女 「…え、でも、お父さんは…。」
女 「お父さんは『選択』を免れた貴重な男性と言えるわね。 そして…。」
少女 「そして…?」
女 「二つの7日間の謎を知る人物。」
驚きの表情のまま言葉を失う少女。
女 「俺も旅をしていて、噂しか聞いてはいないのだけど、あの二つの『7日間』は『主』と言う男性を探すために『意識的』に行われたと言う人もいるの…。」
女の台詞を真剣に聞き入る少女。
女 「実はね、俺はその『主』って言うのを探して旅しているんだ。 いかんせん家にいても、食う以外なにもやることがないんでね!」
豪快に笑う女。
吊られて微笑む少女。
女 「どうだい、信用してくれたかい?」
頷く少女。
女 「よっし! こうなったら一緒に『主』を探しにいかないか?」
少し悩んだ表情の少女。
女 「オマエさんだって、ここにいる必要はないんだろう? それに『主』に会えば、あんたのお父さんが殺された訳がわかるかも知れないぜ。」
小さく頷く少女。
女 「俺の名前は、コマンド・ドリブン、コムと呼んでくれ。 あんたは?」
少女 「私はキャメロン・プロセッシング、昔はメロンって呼ばれていたわ …。」
女 「OK! メロン、いくよ!」
少女 「はい、コムさん!」
女 「さんは余計だよ!」
笑いながら歩き始める二人。
遠くのビルの屋上からその二人を監視している、全身黒ずくめの人物がいた…。
第一章 終